あなたがデイリーピルを飲む理由は?
体への効用にとどまらず、意外と見えてこない意識や生活の変化について、
デイリーピルを服用中の方へのインタビューを通して知る連載「PILL IS MY WILL」。
今回は、SNSを中心にフェミニズムについて発信する笛美さんへ話を伺いました。
笛美(ふえみ)
2019年からフェミニズムについての投稿を始めた、広告関連の仕事を務める会社員。2020年5月に400万以上を超すツイートを生み出した「#検察庁法改正案に抗議します」の考案者でもある。
私は仕事と生理のきつさが相まって毎月本当に辛くて、産婦人科へ行きピルを処方してもらったことが最初の出会いです。最初は生理が止まってまたくるのかとか、妊娠できなくなるんじゃないかとか、不安はいろいろありました。今思えば馬鹿な考えだったけど、毎月辛くなるたびに自分のこと嫌いになっちゃうし、背に腹は変えられないと思って飲み始めましたね。
最初のピルは体に合わず、数年くらいピルなしの生活を送っていて。その後海外に行く機会があり、それが今もピルを飲むことになった本当のきっかけです。そこではみんなピルを当たり前に飲んでいるし、それだけじゃなくて排卵が遅れてるなど体の話もすごいするんです。それまでは生理があっても仕事を頑張れない私が悪いんだって全部自分を責めていたのですが、その国でそうではない生き方があると知った。女の子でも自分の力を発揮しながら働いている人だったり、子供がいても仕事を辞めずに続けてる人がたくさんいました。
「私は体力がない」とか「私はブスだ」とか、日本で感じていた女性としてのいろんなプレッシャーが全部なくなりました。日本に帰ってきたら絶対に自分の事を下げないし、もし周りに女性に対する心ないことを言われても、「それは違う」って言い返さずとも心で闘おうと思ったんです。それで、ピルも飲もうと思って。
ピルを飲むと感情の浮き沈みが小さくなったり、生理が決まった日にきたりするのはすごく安心感がありますね。ピルを飲む前は、生理が遅れると「自分の体を大事にできてないからだ」と全部自分のせいにしていて。当時は飲まない自分をいじめてた気がします。私にとってピルは女の人が自分の体をちゃんとマネジメントできる身近なインフラみたいなものです。
Text/Maki Kinoshita
Edit/Riku