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どんな性教育コンテンツが必要?性共育を自分ごと化していく、168個のアイデアとは。性共育ワークショップ DAY2レポート

「この国の性教育が後回しになっているのは #しかたなくない」にフォーカスした

実装活動『性共育プロジェクト』が始動しました。本プロジェクトでは年齢も活動領域も異なる約20名の有志が集まり、性教育を共に育みながらSOCIAL INNOVATION WEEK 2022での「性共育」コンテンツ発表をゴールに、

互いの視点・見解を高め合っていきます。

 

2022年5月に初日を終え、6月に2回目が実施された本プロジェクト。

今回は「性共育のコンテンツを探る」をテーマに交わされたワークショップの

一部をお届けします。

いま社会に必要なコンテンツとは?

ワークショップ前半は、性教育プロデューサーの中島梨乃さん、株式会社セカミー代表の増田早希さん、一般社団法人 NO YOUTH NO JAPAN 代表の能條桃子さんの

3名によるキートークからスタート。それぞれターゲットとしている世代やアプローチの仕方が異なる彼女たちが考える「いま社会に必要なコンテンツ」とはどのようなものなのでしょうか?

3人に共通していたのは、さまざまな人の声を聞く重要性。課題と原因に明確な因果

関係はなく、今まで見えていなかった視点を可視化するには1人1人の声を集めながら

その背景に広がる要因を突き止めることを大切にする必要がある。印象的だったのは

「自分が発信してみるまでこんなに問題意識を持っているのは自分だけだろうと思った」という能條さんの言葉に2人も大きく頷いていた瞬間です。自分の中に生まれた違和感にいろんな人の視点を掛け合わせていくことで「いま社会に必要なコンテンツ」が生まれるのだと私も背中を押してもらったようでした。

性教育のハードルって?アイデアから見えてきた課題感

ワークショップ後半は、学校・地域・オンライン・職場・家庭のテーマに分かれて3〜5人のグループでワークタイム。まずは「8つの発想チャレンジ」でアイデアブレストの下準備をしていきます。ひとりひとりが8分間で8つのアイデアを書き出し、各自のアイデアを

グループで共有。互いの発想を混ぜ合わせて新たなアイデアへと繋げていきました。

グループで話した後は他グループのオンラインボードの視察タイム。どんなことが自分

たちのグループでも真似ができそうか、「めっちゃいいアイデア」や「参考になる角度」をグループのアイデアボードに組み込んでいくなかで、それぞれの背景にある課題が見えてきました。

学校

・「性教育=恥ずかしい」というイメージ
・自由かつラフに相談できる場がない
・生徒の当事者としての視点を可視化できていない
etc

 

地域

・悩みや事例をシェアする場が少ない
・性教育に協力してくれる場が少ない
・課題やできることに地域差がある
etc

 

オンライン

・「わからない」をシェアする場がない

・相互コミュニケーションの機会がない

・ジェンダーイメージによって話せることに偏りが生まれる

etc

 

職場

・意思決定者の偏り

・個人の意見より組織の文化が優先される風潮

・性教育をリードする主体が不明確

etc

 

家庭

・親世代へのインプットの機会が少ない

・子供が自分で選ぶ経験が少ない

・異性親家庭のサポート不足

etc

このアイデアが一番刺さった!マイベストセレクトを教えて

どのグループでも共通していた課題は「一緒に考えられる人がいないこと」「相談の

ハードルの高さ」「どうしたら性教育を自分ごと化できるのか」。それぞれどんな解決の

アイデアが出たのでしょうか?

プロジェクトメンバーの声

「高校生と一緒にコンテンツ開発」

教材コンテンツの制作に現役の高校生や中学生の声を取り入れて欲しい。

性教育にどこまで踏み入れていいのか、どこからがセンシティブなのかを教えるのは、実際に教育を受ける側の意見を取り入れるのが一番早そう。コンテンツを

生徒たちが主体となって開発することでより深い学びにつながるし、「自分たちで作って行っちゃおう」という考え方は新しい発見だった。

 

−「高校生」山本純大

「防災と性教育」

防災意識を高めるように防犯(被害者にも加害者にもならない)意識を高めるためのグッズがあるといい。防災については定期的に「見直しましょう」「準備をしましょう」と呼びかけられるし、自分ごととして捉えられる。これらが紐づいたグッズなどが自治体から支給されたり学校に常備されたりして、誰でも当たり前に触れる

ことができる環境を整えることで防犯についてもっと当たり前に話せるようにしたい。

 

−「NPO法人 ソーシャルデザインワークス」Minami

「ロールプレイ(人生ゲーム)」

ロールプレイは子供も大人も自分ごと化して落とし込めるという点で有効だと思う。例えば人生ゲームであれば「自分ではない他の誰か」の立場に立って、思春期や成人期などに身体や心にと身体や心に起こる変化を遊びながら考えることができる。すごろくなら

コンテンツにしやすそうだし、家族で性について話すきっかけにも繋がりそう。

−「株式会社ディレクションズ」大下愛海

「保健室」

大人になるにつれて「しかたない」と諦めてることが多く、職場においては自己責任という言葉に追いやられて心理的安全の確保は放置されているかも。社外からカウンセラーや保健師を迎え入れ、心身のケア、相談などが気軽にできる「1社に1保健室」の設置をしたい。大人だって自分を大事にする意味でのエスケープが必要。

 

−「LGBTQ+専門PRエージェント」NANA

「家族会議 / アプリ?LINE?」

家庭内の問題を家庭内だけで解決するのではなく、第三者に頼ってもいいというスタンスが刺さった。親子関係だと言いづらいことも、第三者を仲介して間接的にでも知ることができたり、定期的に話すきっかけをつくることも必要。家族間で

ネットフリックスのおすすめ番組を共有するなど楽しいベースで話ができるのも良いなと思う。

 

−「株式会社Rebolt共同代表」しもやまだ

「性教育への抵抗感がなくなっていけばいいな」

学校でも職場でも、自分がインプットする意見はどうしても偏ってしまうもの。「職場と学校の違いなど、先輩や後輩とは違う意見が聞けたのは面白かった」という声は、自分が普段触れている意見がどれだけ限られているのかということに改めて気づかされました。全ての参加者が「性教育への抵抗感がなくなっていけばいいな」という思いのもと、

性教育へのハードルを下げてタッチポイントを作る方法を模索しています。

 

性共育ワークショップ DAY3では、グループで策定する「性共育」コンテンツをより

具体的にしていきます。168個のアイデアがどのように形になっていくのか、わくわくが止まりません。

 

性共育プロジェクトについて

 

「#しかたなくない」プロジェクトが2022年5月よりスタートした、「この国の性教育が後回しになっているのは #しかたなくない」にフォーカスした実装活動。

 

教師によるマニュアル的な「教育」ではなく、大人も子供も垣根なく、本当に知りたい事への理解を日常的に深めていく「共育」。それこそが性分野における水準を高めるキーになるのではないか。そんな仮説を実証するべく「性共育」を模索し、形にすることで社会のアップデートを目指す。

 

これまでの性的マイノリティや障がいがある方の多様な性を軽視した「マジョリティのためだけの性教育」ではなく多様な視点をもったプロジェクトにすべく、1月にプロジェクトオリエンテーションを実施。その参加者の中から有志で、性的マイノリティの当事者、障がい福祉施設の方、現役の学生、産婦人科医、性教育講師、企業の方など、さまざまな視点と専門性のある方々をメンバーに迎え、活動中。

Text/Maki Kinoshita
Edit/Riku(REING)

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