TOPICSINTERVIEW

ピルや身体の話ってどうやってしてる?:PILL IS MY WILL Vol. 02

あなたがデイリーピル(*1) を飲む理由は?

身体への効用にとどまらず、意外と知られていない意識や生活の変化について、

デイリーピルを服用中の方へのインタビューを通して知る連載「PILL IS MY WILL」。

今回は、フェミニズムを中心とした発信をおこなうAiさんにお話を伺いました。

Ai Tomita

1998年、北海道生まれ。地方の情報格差に課題意識を持ち、フェミニズムを中心とする発信を行う現役大学生。

私は19歳の頃から5年ほどピルを飲んでいます。初めての性行為でコンドームをつけていたのに妊娠をしました。このとき、妊娠に気づく前に流産してしまって…。その後も性行為の際にコンドームを使っていましたが、ある日避妊に失敗して緊急避妊薬(アフターピル(*2))を飲む機会がありました。こういった経緯から、コンドームに対する不安な気持ちが募っていったんです。あとは、本当に生理が重くて。いろいろと調べた結果、ピルはコンドームより高い確率で避妊ができることに加えて、生理痛も改善されそうだと思い、とりあえず病院に行ってみました。最初は避妊を目的としたピルをもらっていましたが、病院を変えたタイミングで、月経困難症の治療薬として保険が適用される超低用量ピル(*3)に移行しました。最初のピルは毎月少量の血が出ていましたが、今飲んでるピルは毎月ある休薬期間のうち、2ヶ月に1回ほどの頻度で少し血が出る程度。最初は「妊娠してる?」と不安に思ったこともあります。でも、診察の際に医師に詳しく説明してもらったので、その後も安心して使っています。家族と婦人科系の病気について話すことが多かったので、婦人科に行く抵抗はあまりなかったですね。今80歳の祖母が30歳の時に子宮を全摘していたり、母は生理がすごく重くてピルを服用していたりして、気軽に相談できる存在がいたのは大きかったです。

 

不安が残ったり、身体に合わなかったりしたらやめればいいと思うので、まずは病院に行って専門家の話を聞いてみて欲しいです。専門家への相談をきっかけに、隠れている病気がわかるかもしれないし、自分がこぼした悩みを拾ってもらって改善することがあるかもしれません。私は、過去に性交痛のせいでパートナーとの性行為を最後までできなかった時期があるのですが、相手に申し訳なくて自分のメンタルがかなり落ち込んでしまって。でも、最初からずっと痛かったので、わざわざ相談するものだとは思ってなかったんですよね。そんなとき、ピルをもらうために通っていた婦人科の先生に、問診のとき相談してみたんです。そうしたら、もともと自分が持ってる菌のせいで膣内が荒れて痛みが出ていることがわかって。薬を出してもらって、治すことができました。

 

本当は、「お茶行こう」くらいのテンションで、人に相談したり病院に行けたりしたらいいけど、口に出すことを恥ずかしく感じる風潮があると思います。だから私は自分を主語にしてピルの服用や婦人科に行くことを発信するよう心がけています。「どうだった?」って聞いてくれる子もいるし、「アイの投稿、どう思った?」とパートナー同士で話すきっかけにしてくれた子もいます。私に相談してくれた友達の何人かは、今も継続して低用量ピル(*4)を服用してます。私にとってピルは身体の一部だし、生活の一部。私の投稿を、家族や周りの人と話すきっかけに使ってもらえたら嬉しいです。ピルや身体のこと、婦人科に行くことを気軽に話せるようになったらいいですよね。話すだけではなく、自分の身体と向き合う行動が、みんなにとって身近なものになるといいなと思います。

*1 デイリーピル:毎日服用する低用量ピルと超低用量ピルの総称。緊急時に服用するアフターピルとは異なる。

 

*2 アフターピル:避妊ができなかったり、避妊が不十分だったときに、性行為の後に服用することで望まない妊娠を予防する薬。

 

*3 超低用量ピル:基本的に「月経困難症」や「子宮内膜症」の治療薬として使われ、主に生理痛を改善する目的で使用するピル。

 

*4 低用量ピル:高い避妊効果をはじめ、生理痛、PMS、肌荒れ、貧血の改善、継続的な服用で生理日のコントロールなどの、悩みの改善につながるピル。

Text/Maki Kinoshita

Edit/Riku

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