TOPICSINTERVIEW

会社はひとつの居場所。違和感をそのままにせずに働くには?NEWPEACEインタビュー

多様な個のあり方を尊重するCreative Studio REINGを始めとし、コミュニティを

中心とした事業や、企業のプロデュースワークなどを行なう会社、NEWPEACE。

REING代表の大谷明日香さん、今年新卒入社した落葉えりかさん、

コーポレート担当の染谷英輝さんに、それぞれの立場からの

「しかたなくない」働き方について伺いました。

NEWPEACE

今を生きる人が、従来の価値観や方法論に囚われることなくそれぞれのビジョンを信じ、自由に実践できる未来を目指して、NEWPEACEは、クリエイティブ×テクノロジーを駆使し、誰もがビジョンを実践できる世界をつくります。

https://newpeace.jp/

会社は上司・部下の関係があるから意見を言いづらいのは当たり前。でも、自分か他の誰かが踏み出すしかない

―みなさんの主な仕事内容を教えてください。

 

大谷:私は2018年に社内でCreative Studio REINGを立ち上げました。以前は広告代理店に勤めていたのですが、たとえば「子育て=母親だけが対象」というイメージのままブランディングが進んでしまうことや、生まれながらにして持っている身体、性別、年齢にまつわるイメージが社会のなかで固定されていることに対する違和感が少しずつ積み重なっていったんです。REINGでは、そうした違和感をそのままにせず改めて問い直し、クリエイティブの力を活かして発信していきたいという思いで、ジェンダーもセクシュアリティも含め、多様なバックグラウンドを持つメンバーたちとともに、雑誌『IWAKAN』の出版や、アンダーウェアなどのプロダクト開発やプロデュースワークを行なっています。

 

落葉:私はREINGで1年前からインターンしていて、今年新卒入社しました。今はアシスタントプロデューサーとして、メンバーのサポートや、パートナー企業さんと一緒にお仕事をしています。インターンのときと違ってプロジェクト全体を見るようになったので視野が広がり、サポートできる仕事の幅が増えてきました。

 

染谷:僕は「カルチャー&コミュニティ」という部署に所属しています。NEWPEACEをひとつの会社ではなく「人が集っているコミュニティ」として捉え、日々のちょっとしたことも含め、みんなが過ごしやすい環境を整えて作っています。プロデュースワークに日々奮闘しているメンバーは、会社に対して感じることはあっても、なかなか自分で動きづらいと思うので、みんなが「しかたない」と思っているだろうなということを僕が察知して、声を吸い上げています。

 

大谷:「カルチャー&コミュニティ」は、小さなアクションを積み重ねて、みんなを巻き込む空気を作ってくれる大事なポジション。小さいことでも「しかたない」と放置しないでいいんだよっていう姿勢を率先して見せてくれるので、私たちも「本当はこうしたいんだけど」って言いやすい空気ができていて。

 

落葉:たとえば、ゴミ袋を再生プラスチックにしてほしいなど、もっと環境に配慮したオフィスにできるのではないかという話をすると、すぐにバンブーロール(竹からできたトイレットペーパー)を導入してくれたりするんです。

 

染谷:「コーポレートグロースハック」と名づけて100個の社内改善をしたら、社内の空気が変わってきたんです。それまでは「染谷がやったこと」だったけれど、それを機にみんなが当事者意識を持って行動するようになって、自ら行動・体現していくことの重要性を感じました。みんなが発言しやすくなることにも繋がっていたらいいなと思うんだけど、新卒の落葉としてはどう?

 

落葉:みんなちゃんと意見を聞いてくれるのが大きいですよね。明日香さんに背中を押されて、NEWPEACEの代表に直接意見を言ったらきちんと受け止めて、改善してくれたことがあって。会社って上司・部下の関係があるから言いづらいのは当たり前だし、私ももちろん怖かった。でも、他の立場にいる人だって同じ人間だから、自分か他の誰かが踏み出すしかないし、感じたことは言ったほうがいいと思いました。明日香さんに「私、言いすぎですかね……?」と聞いたこともあるけれど、「そういう姿を会社は求めているから大丈夫だよ」と言ってくれて。そこからブレーキかけずに働かせてもらっています。

サステナビリティ、ジェンダーバランス、生理のこと。会社として仕組みができている?

―働いているうえで、最近モヤモヤしていることはありますか?

 

大谷:様々な社会課題を踏まえながら仕事を行なっていくうえで、「じゃあ自分たちはどうなの?」ということが、いちばん気になります。たとえば、経営を担うチームのジェンダー比率が適切なのかとか、ゴミを減らす努力を本当にできているのか、みたいなこと。個人の取り組みではなく、会社の仕組みとして形にできている部分とまだできていない部分、どちらもあるなと。

 

落葉:私もそう思います。入社直後、自分たちができていない部分があるのに、サステナビリティに関する仕事をすることにすごく違和感があったんです。さっきのトイレットペーパーの話など小さくても変化しているとは思うけど、まだまだ停滞してる部分もある。あと、この春に社会人になって、生理のときは仕事が辛いというモヤモヤを痛感したところです。

 

大谷:まさに「しかたなくない」だよね。生理に関しては、これから制度としてどうサポートしていくか話して、具体的な取り組みをやっていく必要があると思います。染谷さん主導でキャリアと女性の出産や妊娠について考える会もやりましたね。

 

染谷:出産・子育てをしながら、同業界で活躍している方から話を聞く座談会をしました。そこから明日香さんが、ホルモン検査キットを開発されている方と産婦人科の先生を招いて、女性の身体やホルモンの男女差について学ぶ勉強会なども行ないましたね。

 

大谷:生理がある人・ない人、生理痛が重い人・軽い人、個々に違うそれぞれが生理と働き方について最初から同じ目線で考えるのは難しいじゃないですか。だから、まずは男性・女性の身体で分泌されるホルモンの作用の違いをデータで出して視覚的に理解してもらったり、生理期間に生理がある人の身体に何が起きて、どういう配慮が必要かをロジカルに解説したりして、「こんなに違うんだ!」と知ってもらい、考えるきっかけを作りたかった。「ここまでがんばらないと伝わらないのか」という思いはあるけれど、少しずつ変わればという思いで、まずは自分にできそうなことから始めました。

 

染谷:勉強会で知った情報は僕にとって全て新しかった。これまで知る機会がなかったんですよね。生理があることはわかっていたけど、身体がどうなるのかまでは想像できていなかった。だから、単純に知ることができたのは大きかったし、そのうえで想像力が働くようになったと思います。

聞くこと、話すこと。想像力を持って違和感と向き合う。

ー「しかたない」ままにしない働き方が社会においてより増えていくためにはどうしたらいいと思いますか?

 

染谷:一人ひとりが当事者意識を持つことが大事。言葉では簡単ですが、果たして本当の意味でできているのか考えると、まだまだなことも多いですよね。まずは自分の身近にいる人たちには寄り添って生きていこうとか、幸せであってほしいという思いが少しずつ伝播していけば、世の中がもっとよくなると思います。

 

大谷:仕事の場でも、「なんか違うぞ」って違和感をないがしろにしないこと、違和感を教えてくれる人の声も絶対に蔑ろにしないこと。それが大きな動きを生んで、結果的に「しかたない」を変えていくと思います。REINGでは、私も含めて病気やメンタルの問題を抱えているメンバーもいますし、既存のシステムからどうしても外れてしまう人たちが、安心して最高のパフォーマンスを発揮できる、こうありたいと願う自分でいられる居場所を作れたら、と思っているんです。私たちが自分らしい人生を歩んでいくためにも、小さな違和感や声を大切にしていけたらと思います。

 

落葉:話すことと聞くことの両方が大事だと思います。私はもともと思ったことを口に出すタイプだけど、こんなに耳を傾けて受け入れてくれる場所は今までなかったんです。聞いてくれる場があるということがすごく大事だと思ったし、だからこそ、自分にはしっかり話す責任があると思っています。学生時代に「こんな世界で生きていくのは無理だ」と思っていたけれど、REINGは居場所でもあり、そこから社会を変えていく強さを与えてくれる場所でもあるのかなと思っています。

インタビュー・テキスト/飯嶋藍子

撮影/池野詩織

編集/竹中万季(me and you)

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