セックスとはいったい何のためにあるのだろうか。
自分を気持ちよくするため? 相手を気持ちよくするため?
それとも、2人の関係を良好に保つため?
自分たちが心地よい状態でいられるためのセックスってなんだろう。
結婚をしている二人が考える、セックスと互いの関係性について話を聞いた。
松田あい(写真右)
大阪府出身。WEBデザイナー
松田シヴァ(写真左)
東京都出身。サウンドクリエイター/造形美術
結婚=永遠というわけではない? 二人が結婚に対して思い描くもの。
―二人はどうして結婚をしようと思ったのか教えてください。
Siva(以下、S):僕は東京出身なのですが、大阪にいる写真家の友人が写真展を開くことになって、大阪へ行ったときに彼女と出会いました。付き合おうってなった時点で、彼女が大阪から東京に移ってきて、3年くらい一緒に住んでいました。
Ai(以下、A):勢いでこっちに来たものの、結婚することまで考えてはなかったです。
S:同棲ははじめての経験でした。結婚せずとも一緒に過ごすのがとても楽しかったし、そのときは特に結婚については考えてなかったですね。結婚に対して憧れがあるわけでもなかったですし。
A:けど、子どもが欲しいなって話はしていて。なんてことのない日の朝に突然、「結婚しよう!」って、プロポーズされました。
S:彼女がパートナーでいてくれることによって、自分がより自分らしくいられるなと思いました。結婚して、一生一緒にいられるのかって、誰にも分からないことだと思うけど、彼女と試してみたいと思ったんです。
―相手の一番魅力的だと思うところは?
S:とにかくすごくいい人なんです。優しくて、思いやりがあります。
A:どんな相手でも、一人一人丁寧に接するところ。あと、私がしんどそうにしているとき、そういったちょっとした変化に気付いてくれて、笑わせようとしてくれるのが嬉しいですね。
S:お互いそんな感じなので、怒ったり怒られたりすることはほとんどないです。もちろん、イラッとするときはあるけど、そういうときは、「この怒りはマイナスなことしかないよね?」 と、一度お互いの心を落ち着かせています。
ー二人で何をして過ごす時間が好きですか?
S・A:一緒にご飯を食べているとき。
A:だから、毎日楽しいですね。
ー一緒に過ごすうえで大事にしているルールはありますか?
S:当たり前のことですけど、自分がされて嫌なことは相手にはしないこと。相手がいい感じだと、自分もよくなる。そういった気を相手に配ることが、思いやりに繋がると思います。
A:相手を尊重すること。何かに縛り過ぎずに、お互い自由でいられることが、心の余裕にもなると思いますね。付き合いはじめたときは、相手に合わせたほうがいいのかなと思っていました。けど、勝手にこっちが思い込んでいた部分もあって。そういったことをきっかけに、何か思うことがあれば話すようにしたら、どんどん心が自由になっていきましたね。
S:フリーランスで仕事をしているので、自分で仕事の時間を組んでいくのですが、仕事のリズムがいいときってあるじゃないですか。例えばそんなときに、夕飯を作ってもらっているのが分かると、「すぐ帰らなきゃいけないのかな…」みたいに思うときもあって。けど、今はそういうふうに思う必要がなくて、それぞれの時間のバランスを理解しているので、お互いがストレスなく過ごすことができています。
相手に正直であることが、心地よさに繋がっていく。
―セックスをするタイミングはどんなとき?
A:結婚する前と後でだいぶ変わりましたね。セックスに対して、お互いが同じモチベーションのときにするようになりました。どちらかが気持ちがないままで身体を重ねるよりも、気持ちが入ったうえでしたいなって。
S:だから、したいかしたくないかはちゃんと言うようにしています。セックスに限らず、何か思っていることがあれば、相手に話すことが基本ですね。
―心地のよいセックスってどういうものだと思いますか?
S:心地よいと気持ちいいって、違いますよね。気持ちいいは性的な快楽で、心地よいは相手に飛び込んでいるっていう感覚な気がする。
A:結婚してからだんだんと素直になることができるようになってきて、「もっとこうしてほしい」って少しずつ言えるようになってきたんです。年齢を重ねて、身体も日々変わってくるし、そのときの気持ちや感覚を大切にして素直になることが、お互いの心地よさに繋がっているのかなと思います。
S:だから何事も話すことが大事ですよね。「セックスはこうするべきだ」などの情報が世の中から勝手に植え付けられているけれど、それぞれの気持ちよさがあると思うので。
A:30歳を迎えてから、身体がどんどん解放されてきているなと感じます。今まではなかった「ここが気持ちいいかも」みたいな身体の変化が分かるようになってきました。ちなみに、まだシヴァに言えてない部分もあります。少しずつ伝えています(笑)。
Text/Fumika Ogura
Photo/Elena Iwata
Edit/Noemi Minami(NEUT)